一般的に高級と称するオーディオケーブル導線素材には、LC-OFCやPCOCC又 銀線等が使われています。また、太いケーブルからは力感ありそうなイメージを受けます。逆に細いケーブルからうける音のイメージは、貧弱そうに感じます。

　人が潜在的に持っている音へのイメージは例えば、水道水の配管パイプなどパイプが太いと抵抗が少なく多くの水が流れるという事からイメージされているのかも知れません。ところが、電気信号を伝送するオーディオケーブルでは水道水の様な理屈は当てはまらないのです。正しくは電荷の周辺に発生する電束が移動する物理現象を電流として表しているのです。また電束の移動速度は光速度をこえることが出来ないため電流速度は光速度以下であることもご承知の通りです。

　特に正負非対称で周期性がない音楽信号を伝えるオーディオケーブルの場合、ケーブルに使ってある絶縁体から大変大きな歪が発生します。この歪の量は絶縁体の総量に大きく関係し、絶縁物が大量に使用されている太いオーディオケーブルからは大量の誘電体歪が発生するのです。

　極太ケーブルは、細いケーブルより絶縁体が極端に多く使ってあるために、絶縁体から発生する誘電体歪も極端に多くなってしまいます。
結果的に
●音のフォーカスが甘い（ピントが甘い）
●なんとなく音の抜けが悪い　スッキリしない　音がマスキングされる　聞きにくい音がある
●生の音とは程遠い　電気的な音がする　いかにもオーディオ機器が鳴っているような音がする
●曲によって良かったり悪かったり　音楽ジャンルによって良かったり悪かったり　録音によって良かったり悪かったり
●小音量だと音がはっきりしない　大音量だと安定感がない、バランスが崩れるなどのことが生じます。

　従来、絶縁体から発生する誘電体歪はオーディオケーブルの個性として広く受け入れられ、様々な固有音をもったオーディオケーブルが発売されてきました。この誘電体歪を主体とするケーブル固有音はあたかもユーザーの方々の混迷を楽しむかのごとき振る舞いを致します。この理由は誘電体歪による音質劣化は時間経過をともなって生じることが主な理由です。また導電体を銀とか結晶構造材また高純度導電体にすることによって誘電体歪を減少させることは不可能であることも事実なのです。

参照：ケーブルに付帯音が生じるメカニズム