オーディオケーブルを変更するとなぜ音が変わるのでしょうか。一技術屋としてまたオーディオ好き、音楽好きの一人として出来るだけ多くのお客様にご理解いただくため少しばかり日常的な言葉でお話してみます。導体素材による音質差ページにも記載させていただきましたように
●導電体素材による音質差は主に原音の分解能を左右し、
●絶縁体素材による音質差は主に原音に加算される付帯音を左右することがわかっています。
この付帯音は場合によっては原音を隠したり誇張させたりすることがわかっています。場合によっては・・という表現をする理由には、音楽信号や自然音は正負非対称で周期性を有しない信号波形であることが主な理由です。

当サイトの三種の課題には従来のケーブルが持つ三つの大きな課題を掲載しています。構造と特徴には三つの課題をどのような方法で解決したのか、その構造と理由を掲載しています。Q&Aにはオーディオ的な視点からどのような技術なのかを解かりやすく説明しています。

そしてこの技術詳細では、より具体的に今までの実験や研究の成果や失敗談を断片的ですが掲載してきました。しかし、オーディオファンの方々からすれば、どうしても理屈っぽくなっている感があり、ケーブルを変えるとどうして音が変わるのかをもう少し解かりやすく記載してみます。

　音が良いとか良くないとかは別として、音が変わる一番大きな原因は絶縁物が持っている極めて特異な性質が原因しています。導体中を電気が伝わる速度はおよそ光の速度に近いことは良く知られたことです。（正確には周波数により異なり光速度より遅くなります）

　例えば、オーディオアンプからの音（電気信号）は瞬時にスピーカー入力端子に伝わり、ところがスピーカーケーブルには絶縁物が使ってあり、この絶縁物に力が発生してしまうのです。この絶縁物に発生した力は再び電気を起こし、時間が遅れてスピーカーに加わってしまうことが主原因なのです。さらに重要なことは絶縁物の種類、またケーブルの構造によって力の発生の仕方や伝わる速度、力を蓄える量などが異なることです。この違いによって音が良いとか良くないとかが生じてきます。オーディオ機材との相性が生じるのもこのためです。

　このことを皆が簡単に体験出来る実例をあげます。左右のスピーカーケーブルの長さをわざと違えた状態にします。左右の長さが異なると音の定位が同長の場合と異なって聞こえます。光速度に近い速さで伝わる電気信号では、ケーブルの長さを数メートル変更してもどちらも瞬時として捉えるのが妥当。

　つまり導電体の長さでは説明がつかないことになりますが、ケーブルに使ってある絶縁体をもってすれば容易に説明がつきます。つまり導体中は瞬時に電流が流れ、絶縁体から発生する付帯音は時間をかけて伝わり定位や音色を変化させるのです。従来はこの現象をケーブルの個性（キャラクター）とも言い、趣味のオーディオケーブルとして受け入れられてきたのです。

　このことは、オーディオアンプの内部配線、オーディオケーブル、スピーカーの内部配線、もっとシビアな世界ではトランス巻線、ボイスコイル、抵抗器、コンデンサーなどを含むオーディオ部品全てで起こっている現象です。ケーブルから発生する誘電体歪（付帯音）は一刻も早く、且つ確実に取り除く必要があります。