当サイトで『誘電体歪』という言葉が殆どのページに出てまいります。またその歪はオーディオケーブル全体に伝わり原音を隠したりするというご説明をさせていただいています。このページでは誘電体歪がどの様にケーブル全体に伝わっていくのか、日常体験出来る一つの例を持ってお話してみます。

【誘電体歪はケーブル全体に時間をかけて伝わる】

　鉄道線路の一部分を石ころで叩き、数百メートル離れた場所で線路に耳をあてると、叩く音と線路固有音が重なり聞こえてきます。これが時間をかけて伝わる　いわゆる付帯音です。叩く音を伝わらなくするには例えば、1000ｍの線路を10ｍ単位の短い100本の線路にし、繋ぎ部分を金属で固定しないように隙間をあけ、隙間を鉄とは別の柔らかいもので塞げば、一箇所を叩いた音は次の線路には殆ど伝わっていきません。100本の短い線路1本ずつを100種の叩き方をしても、それぞれの音は互いに交じり合うことはありません。更に一本1ｍの線路を1000本使った場合には1000種類の叩き方をしても互いに交じり合うことはありません。これが導体軸方向分割絶縁体構造を有するラダー型オーディオケーブルの基本中の基本的な考え方です。梯子（ラダー）構造の考え方はおよそこのようなものです。

　ケーブルに使ってある絶縁体では、鉄道線路を振動（歪）が伝わると同様にケーブル全体に伝わり、その歪によって新たな音を隠すような付帯音が発生するのです。これがオーディオケーブルが持っている固有音（３次元的変調歪）なのです。この付帯音がなくなるために、霧が晴れたようなすっきりとしたリアルな音になるのです。つまり原音そのままの音、結果的にスピーカーやアンプなどが持っている個性を十二分に楽しむことができる音・・となるわけです。

　絶縁体を電界中に置くと【弾性体の理論がそのまま適用される】とあります。このことは１００年以上も前に偉大な物理学者であるマクスウェル氏が『マクスウェルの電磁場の理論』で説明をしています。線路もオーディオケーブルも弾性体そのものなのです。

【オーディオケーブルが持つマイナス要因の排除】
　一般的に　音が良い、忠実性がある、高解像度である、などの言葉を使います。またそれらの言葉は当サイトにおきましても数多く出てまいります。オーディオシステムで記録された音楽等を再生する場合、正しい音という定義が明確ではありません。それは記録する段階で人為的に作られているからに他なりません。マイクロフォンの設置方法からして全て異なった条件で記録され、またそこには制作者の意図する要素が入っているのも事実です。

　では再生システムにおきまして良い音とする要素は？と問うた場合極めて抽象的な　高音質、高解像度、高忠実性なる言葉で表現するのが一般的です。当サイトでも前記の言葉が出てまいります。ラダー型ケーブル開発におきまして一つの普遍的な思想を持ってチャレンジいたしました。それは『マイナス要因を排除する』という極めて『単純で質素かつ明快』な技術思想です。

幸いにも物理学という偉大な先人の方々が残してくれた文献が数多くあります。その中で特にオーディオケーブルにとって重要である絶縁体が起こす様々なマイナス要因を発見したのが、ラダー型ケーブル誕生の源でした。マイナス要因とは録音現場や演奏会場では決してあり得ない、もっと広く捉えれば自然音にはあり得ない物理現象です。そのマイナス要因を排除可能なケーブルとは？　結果的に梯子（ラダー）構造に到達した理由です。

　決して良い音がするケーブルを目指したものではありません。（開発当初はそうではありませんでしたが・・・）ケーブルが持つ固有の音（付帯音）が桁違いに減少し結果的にオーディオシステムに使用した場合、高い忠実性を持つ結果となりました。オーディオ的な表現をすれば、録音現場の雰囲気といいますか　演奏会場の空気感とでもいいますか　そのような感覚が聞こえてくるケーブル製品が誕生したわけです。それはあたかも音楽信号を隠すかのように働く付帯音（誘電体歪）の減少による結果なのです。