1)ヒューズの特性
ヒューズは過電流遮断器とも言われるように、回路に過電流が流れたとき、機器や配線の加熱を防ぐために自動的に溶けて切れ、過電流を遮断する安全装置のことをいう。屋内配線には、糸ヒューズ、板ヒューズ、筒形ヒューズが用いられる。
ヒューズの特性は次のとおり。
@水平に取り付けた場合、定格電流の1.1倍の電流に耐える。
A定格電流の1.6倍および2倍の電流を流すと以下の表に示した時間内に溶断する。
ヒューズの溶断時間(電機設備技術基準第38条による)
定格電流の区分 |
最大溶断時間 |
定格電流の1.1倍 |
定格電流の1.6倍 |
定格電流の2倍 |
30[A]以下 |
60分 |
2分 |
溶断しないこと |
30[A]を超え60[A]以下 |
60分 |
4分 |
60[A]を超え100[A]以下 |
120分 |
6分 |
100[A]を超え200[A]以下 |
120分 |
8分 |
2)配線用遮断器の特性
開閉器と過電流遮断器とを兼ねるもので、ノーヒューズブレーカー(NFB)とも呼ばれる。
配線用遮断器は次のような特性をもつ。
@定格電流では自動的に動作しない。
A定格電流の1.25倍および2倍の電流を流すと以下の表の時間内に自動的に作動する。
配線用遮断器の作動時間
定格電流
[A] |
時間 |
定格電流の1.25倍の電流 |
定格電流の2倍の電流 |
30以下 |
60分 |
2分 |
50以下 |
60分 |
4分 |
100以下 |
120分 |
6分 |
225以下 |
120分 |
8分 |
3)電線の呼び方
電線の太さは、単線は直径[o]で表し、より線は公称断面積[o2]で表す。より線の素数の数をn、素線の直径をd[o]とし、素線構成をn/d[本/o]とすると、公称断面積は次の式で表される。
公称断面積=(πd2/4)×n [o2]
単線は導体の直径[o]で表し より線は公称断面積[o2]で表す。
4)より線の素線構成と許容電流
絶縁電線として使用するより線を、同心より線という。同じ太さの素線を何層か積み重ねてよったもので、通常、中心の1本の周囲に各層6本ずつ増加するものが多い。以下の表はより線の素数構成と許容電流を表す。
(注)直径3.2[o]の素線の断面積は3.22×π/4≒8[o2]電線の素線構成と許容電流
より線 |
単線 |
公称断面積[o2] |
素線数[本]/直径[o] |
許容電流[A] |
直径[o] |
許容電流[A] |
2 |
7/0.6 |
27 |
1.6 |
27 |
3.5 |
7/0.8 |
37 |
2.0 |
35 |
5.5 |
7/1.0 |
49 |
2.6 |
48 |
8 |
7/1.2 |
61 |
3.2 |
62 |
14 |
7/1.6 |
88 |
4.0 |
81 |
22 |
7/2.0 |
115 |
5.0 |
107 |
4)移動電線
電気使用場所に施設する電線のうち、造営物に固定しないものを移動電線という。
@300V以下の電球線はビニルコード以外のコードかビニルキャプタイヤケーブル以外のキャプタイヤケーブルであり、断面積が0.75[o2]以上のものを使用する。
A湿気の多い場所、水気のある場所、水気のある場所で床上で人が触れるおそれがある箇所に施設する場合は、防湿コードまたはゴムキャプタイヤケーブルを使用する。
B電気ひげそり、電気バリカンなどの移動電線を乾燥した場所に用いいる場合は、2.5[m]以下のビニルコードが使用できる。
C使用電圧が300[V]をこえる低圧の移動電線は一種キャプタイヤケーブルおよびビニルキャプタイヤケーブル以外のキャプタイヤケーブルでかつ断面積が0.75[o2]以上のもの。
5)ジュール熱
電流によって、毎秒発生する熱量は、電流の2乗と抵抗の積に比例する。これをジュールの法則といい、発生する熱をジュール熱という。いまR[Ω]の抵抗にI[A]の電流をt秒間流したときに発生する熱量H[J]は、
H=RI2t[J] で表される。
なお、熱量の単位にはカロリー[cal]がよく用いられ、
H=0.24RI2t[cal]で表される。
例えば、500Wの電気こたつから発生する1時間当たりの熱量は500[W]×0.24×3600[s]=432000[cal]/H 1時間あたり432キロカロリーの熱量となる。
更に例えれば、線路抵抗0.2Ωの電線に5[A]の電流を1時間流した場合の発生する熱量は線路全体で 52×0.2×3600=18kcal/Hとなる。電線が置かれる環境を考慮し毎時18キロカロリーの熱を逃がす必要性がある。
上式から解るように抵抗値と熱量は比例関係にあり、電流の2乗に比例することも理解できる。
6)電力と電力量
電流が抵抗中を流れると熱がはっせいするのは、電気エネルギーが熱エネルギーに変わるからである。すなわち、R[Ω]の抵抗にI[A]の電流を流すと、毎秒RI2の電気エネルギーを抵抗に供給したことになる。
このように、回路に供給または消費される単位時間当たりの電気エネルギーの料を電力(P)といい、単位にはワット[W]が用いられる。
ここで消費された電力と時間の積が電力量となり
W=Pt=VIt [Ws]と表される。
考察:以上の資料から、例えば10[A]流れる線路だから許容電流が10Aの電線を使用すれば良いのかと言えばNOであることがわかります。理由は例えば電流遮断器は1.25倍では60分、2倍の電流でも2分間は通電状態であるためこれに耐えうる電線(ケーブル)を選択する必要があります。つまり定格ギリギリのケーブルを使うことは有り得ないことになります。 |
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参考図書
■第2種電気工事士ポイントレッスン 相模台工業高校教諭 長田利彦
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